致道博物館の沿革
致道博物館は1950(昭和25)年、旧荘内藩主第16代酒井忠良氏は地方文化の向上発展に資することを目的として土地建物および伝来の文化財などを寄附し、財団法人以文会が設立されました。昭和27年博物館法による博物館施設、財団法人以文会立致道博物館として運営し、昭和32年1月財団法人致道博物館と改称、そして公益法人改革により平成24年4月1日より公益財団法人致道博物館となり現在に至っております。
「致道」の名称の由来は、庄内藩校「致道館」によるもので当館では典籍、版木、祭器など多くの藩校資料の保存とともに藩学の伝統を主とした古典の研究もおこなわれています。
酒井氏は、徳川四天王の筆頭酒井忠次を祖とし、三代忠勝が1622(元和8)年入部してから明治の版籍奉還までこの地に居住し、産業経済の振興と徳化につとめ、ゆたかな国づくりにつくしてきました。庄内地方は鳥海山、月山の山々にかこまれ豊かな米産地として知られ、海のさち、山のさちにめぐまれた土地です。こうした自然環境と歴史的伝統によって地域的特色をもつ文化が培われました。当館は、地方博物館として地元に立脚して、この地域の文化と歴史の特色をご理解いただけるよう努めております。
当館地内は鶴ヶ岡城の三の丸にあたり、古くは庄内藩の御用屋敷で広壮な屋敷があり、現在は幕末に建てられた藩主の隠居所である御隠殿とよばれる建物の一部が残っています。奥座敷から望む古庭園は作庭年代も古く書院庭園として国の名勝に指定されています。構内には明治の代表的な擬洋風建物の重要文化財旧西田川郡役所、重要文化財旧鶴岡警察署庁舎の2棟と江戸時代創建の湯殿山山麓田麦俣民家の重要文化財旧渋谷家住宅が移築保存されています。それら伝統的建造物等を活用して考古、歴史、民俗資料などをテーマ別に常設展示しています。
特に民俗資料の保存には創立当初より力を入れ、現在8件5350点の 資料が国の重要有形民俗文化財に指定され、当地方の生活文化の地域的特色と変遷を物語る貴重な資料となっています。そして常設展示とともに、地域の芸術文化向上と美術教育に資するために美術部門を主とした年十数回の特別企画展示を開催いたしております。また松ヶ岡開墾場内に、平成4年米作り用具収蔵庫を建て庄内の米作り用具の保存し、松ヶ岡開墾事業で明治8年創建された一番蚕室、四番蚕室を松ヶ岡開墾記念館、庄内農具館として歴史を次代へ伝えるため活用運営をいたしております。
そして鶴岡市の指定管理を受託し、平成25年4月より旧庄内藩校致道館、平成29年4月より大寶館を運営しております。
当館には友の会が組織されていますが、地元はもとより、各地に居住されておられる縁ある皆様からご加入いただき、博物館運営に大きな力となっています。地元や各地の有志の皆様のご協力の輪に支えられていることを大変有り難く心から御礼申し上げます。 過去、現在のこれまでの長い歴史の歩みの中で醸成された文化を、未来に次代に受け渡していくことを使命として、博物館事業のより一層の充実と進展に努力してまいります。
国宝重要文化財など収蔵品
公益財団法人致道博物館では、文化庁文化遺産オンラインに収蔵品を登録しています。
*文化遺産オンラインのリンクページでは、作品20件が表示されます。さらに作品をご覧になる場合は「 + 連想検索」ボタンを一度押してから、
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致道博物館略年表
平成30年 | 2018 | 6月、重要文化財旧鶴岡警察署庁舎竣工記念式・祝賀会開催 |
平成29年 | 2017 | 4月、鶴岡市有形文化財大寶館の指定管理受託 8月、彬子女王殿下松ヶ岡開墾記念館におなり |
平成28年 | 2016 | 7月、1番蚕室(松ヶ岡開墾記念館)四番蚕室(農具館)各建物鶴岡市に移譲 9月、「豊かな海づくり」天皇皇后両陛下松ヶ岡開墾記念館に行幸啓 |
平成25年 | 2013 | 国指定史跡旧庄内藩校致道館の指定管理受託 旧鶴岡警察署庁舎 修復工事始まる(平成29年度まで) 松ヶ岡4番蚕室修復工事終了 |
平成24年 | 2012 | 公益法人改革に伴い、「公益財団法人 致道博物館」に移行 松ヶ岡開墾記念館・四番蚕室(農具館)を取得 6月から8月まで旧西田川郡役所2階屋根天井等の修復工事 松ヶ岡4番蚕室修復工事 |
平成21年 | 2009 | 旧鶴岡警察署庁舎が国の重要文化財に指定 2月、経済産業省近代化産業遺産群続33ー東北地方の産業振興を築いた分野に旧西田川郡役所、旧鶴岡警察署、 国指定史跡松ヶ岡 開墾場蚕室が認定 観光ガイド日本編「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で下記の評価を受ける 酒井氏庭園☆☆、西田川郡役所☆、旧渋谷家住宅☆、旧鶴岡警察署庁舎☆、民具の蔵☆ |
平成20年 | 2008 | 3月、日本ファッション協会日本クリエイション大賞地域文化賞受賞 |
平成12年 | 2000 | 6月9日、創立50周年の当館へ鶴岡市から感謝状贈呈される |
平成9年 | 1997 | 酒田の公益財団法人 本間美術館と姉妹館盟約を締結 |
平成8年 | 1996 | 重要文化財旧西田川郡役所玄関ポーチ・ベランダ部分保存修理工事完工 |
平成7年 | 1995 | 9月、荘内日報社荘日賞文化賞受賞 |
平成5年 | 1993 | 6月、重要有形民俗文化財松ヶ岡収蔵庫竣工 松ヶ岡開墾記念館運営受託 旧鶴岡警察署庁舎応急補強工事 |
平成4年 | 1992 | 10月7日高円宮殿下・妃殿下ご来館 |
平成3年 | 1991 | 美術展覧会場建物全面改修工事 |
平成2年 | 1990 | 3月、「庄内の米作り用具」1800点、重要有形民俗文化財に指定 |
昭和61年 | 1986 | 3月第8回山本有三記念郷土文化賞受賞 8月7日常陸宮殿下・妃殿下ご来館 |
昭和57年 | 1982 | 10月、重要有形民俗文化財収蔵庫竣工 |
昭和56年 | 1981 | 旧鶴岡警察署庁舎緊急保存修理工事 |
昭和51年 | 1976 | 8月、「庄内浜及び飛島の漁撈用具」1937点、重要有形民俗文化財に指定 12月酒井氏庭園が名勝指定うける |
昭和48年 | 1973 | 10月三笠宮殿下・妃殿下ご来館 |
昭和47年 | 1972 | 旧西田川郡役所(明治14年創建)を移築復元(昭和44年重要文化財に指定) 8月、「庄内および周辺地のくりものコレクション」250点、重要有形民俗文化財に指定 8月皇太子殿下・同妃殿下ご来館 1月、河北文化事業団河北文化賞受賞 |
昭和46年 | 1971 | 10月、酒井氏庭園の修理復元竣工(昭和51年国指定名勝に指定) 12月、「大宝寺焼コレクション」234点、重要有形民俗文化財に指定 |
昭和45年 | 1970 | 10月鶴岡市市制施行(55年)記念して当館が表彰される |
昭和41年 | 1966 | 6月、「庄内の仕事着コレクション」126点重要有形民俗文化財に指定 4月致道博物館東京協力会(東京友の会)発足 2月山形新聞3p賞平和賞を受賞 |
昭和40年 | 1965 | 田麦俣多層民家旧渋谷家住宅(文政5年創建)を移築復元(昭和44年重要文化財に指定) |
昭和39年 | 1964 | 5月、「庄内の木製酒器コレクション」77点、重要有形民俗文化財に指定 |
昭和38年 | 1963 | 5月、「庄内のばんどりコレクション」116点、重要有形民俗文化財に指定 |
昭和36年 | 1961 | 5月、鉄筋コンクリート造の新館「美術展覧会場」開館 10月温海において天皇皇后両陛下に民俗資料天覧 |
昭和35年 | 1960 | 10月義宮(常陸宮)殿下ご来館 11月、文化財保護委員会(現在の文化庁)より文化財保護尽力につき表彰 |
昭和32年 | 1957 | 1月、財団法人 致道博物館と名義を変更 旧鶴岡警察署庁舎(明治17年創建)を移築復元(平成21年重要文化財に指定) 11月、山形県より斎藤茂吉文化賞受賞 |
昭和31年 | 1956 | 民俗資料展示場として「民具の蔵」開設 |
昭和29年 | 1954 | 7月 山形県教育委員会より社会教育功労表彰 |
昭和27年 | 1952 | 3月、新たに施行された博物館法により「財団法人 以文会立 致道博物館」として登録 |
昭和25年 | 1950 | 6月、財団法人以文会を設立し、展示活動を開始 |