致道館と徂徠学 (そらいがく)
徂徠学は古文辞学(こぶんじがく)ともいわれ、古い辞句や文章を直接続むことによって、後世の註釈にとらわれずに孔子の教えを直接研究しようとする学問です。
庄内藩における徂徠学の元祖は水野元朗(みずのげんろう)と疋田進修(ひきたしんしゅう)です。特に、徂徠の没後に太宰春台にも学んだ元朗は、庄内藩学の基礎をつくりました。
以後、藩の多くの儒者が江戸在職中に徂徠の門に学んだことから、この学風は広く藩内に普及しました。
また、後に初代祭酒に任命される白井矢太夫(しらいやだゆう)が、徂徠学で培った抜群の見識をもって寛政の藩
政改革に大きな功績を挙げたことから、藩主忠徳は矢太夫を深く信頼するとともに、徂徠学が実際に藩の政治に役立つ学問であることを高く評価しました。
こうした経緯と、徂徠学を学んだ人材が藩の指導的な立場にあったことが、徂徠学を藩学とした要因であるといわれています。
荻生徂徠(1666〜1728)
江戸時代中期の儒学者。古文辞学を確立。
私塾を聞き、太宰春台や服部南郭らの門人を輩出しました。また5代将軍綱吉の側用人の柳沢吉保や8代将軍吉宗の政治的助言者でもありました。
徂徠先生答問書(とうもんしょ)4巻
水野元朗と疋田進修の質問に、徂徠が答えた直筆の書簡です。中には、徂徠がその書簡に朱書をもって答え、返したものもあります。
水野・疋田両者の学問を究めようとする真剣な姿勢や、徂徠の真撃な指導のうかがえる貴重な資料です。
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