致道館の教育
学 制
①句読所(くとうしょ = 今の小学校にあたる)②終日詰(しゅうじつづめ = 今の中学校にあたる)
③外舎(がいしゃ = 今の高等学校にあたる)
④試合生(ししゃせい = 今の大学教護課程にあたる)
⑤舎生(しゃせい = 今の大学学部か大学院にあたる)
上記の5 段階に分かれ、年1〜4 回の学業検閲に合格すれば、年齢や修学年数に関係なく順次進級しました。
句読所には担任の教師がつきますが、終日誌以上は自学自習と会業(かいぎょう)と呼ばれる小集団討議が中心でした。
会業は助教(じょきょう)を会頭とし、課題と期日を定めて研修の成果を個人ごとに発表し、互いに討論して疑問を明らかにしながら理解を深めようとする学習方法です。
数え年10 歳で入学する句読所から、30歳前後になる舎生まで合わせると、生徒の数は350 名くらいに達したといいます。
学 風
寛政異学の禁(1790) の後、諸藩が幕府の方針に従い朱子学を藩学とする中で、庄内藩は荻生徂徠の提唱する徂徠学を教学とし、廃校までこれを堅持しました。
致道館教育の特色は「天性重視個性伸長」と「自学自習」、「会業の重視J にあります。生徒一人ひとりの生まれつきの個性に応じてその才能を伸ばすことを基本にしながら、知識を詰め込むことではなく、自ら考え学ぶ意識を高めることを重んじたのは、すべて徂徠学の思想に基づくものです。
こうした教育方針は、当地の教育的風土を形づくるとともに時代を超えて変わらぬ学びの精神として受け継がれ、今なお本市の教育の根幹をなしています。
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教育に関する被仰出書(おおせいだれしょ)
藩主忠徳は、致道館の開校にあたり教職員を任命する際に、自らの意向を示した趣意書である「被仰出書J を与えました。
校長にあたる祭酒(さいしゅ)と、副校長または教頭にあたる司業(しぎょう)には教育の目的や基本的な教育方法を、さらに職掌別に管理や指導上の留意点などを事細かに書き記しています。
この中で、致道館教育の目的は「国家の御用に立つ人物」、「人情に達し特務を知る人物」の育成にあると述べています。
版木〈県指定有形文化財〉・致道館本
致道館で編集印刷した教科書とその版木です。論語・詩経・書経・大学・中庸などの版木が全部で317枚あり、1枚の欠損もなく保有されている全国的にも貴重な資料です。